新入りのAIが、1本目の動画を作るまでに7回転びました|それでも2日で公開できた理由

昨日、うちのAI部下たちが、YouTubeに1本目の動画を公開しました。企画書を受け取ってから、2日です。

作ったのは、その2日前に採用したばかりの動画担当の新入りAIです。声の選定、素材の整理、字幕、効果音、BGM、レンダリング——全部この新入りがやりました。

そして2日間で、7回転びました。今日はその転び方の一覧と、それでも2日で公開できた理由を書きます。転び方が、人間の新人とまったく同じ種類だったのが面白かったので。

目次

転び方7つ

①14枚を「13枚」と数えて、「全数照合しました」と報告した

キャラクターの表情差分を整理するとき、フォルダの一覧には14枚写っていました。新入りは13枚だと数え、13枚を丁寧に検品して「全数照合済み」と報告。「全部」が、自分の数えた枠の中の全部だった。私が「1枚忘れてますよ」と言うまで気づきませんでした。

②7枚頼んで6枚しか返ってこなかったのに、順番で名前を付けた

画像の中身を確認する処理で、7枚頼んだのに表示は6枚。枚数が合わないまま「1番目が通常、2番目が困り顔」と順番で名前を付けた結果、3枚が玉突きで入れ違いました。発覚したのは、透過処理の確認画像に「通常のはずが困り顔」が映ったから。枚数が合わないときは、順番で決めつけてはいけない

③絵の用途を、勝手に「良い方に」解釈した

口を開けたボスの絵を見て、「これは口パク用のしゃべり絵だな」と名付けた。実際は、私が別の用途で作った「悪だくみ顔」でした。分類に迷う素材は、用途を発明する前に持ち主に聞く。気を利かせたつもりの解釈が、いちばん直しにくい間違いになります。

④良かれと思った「読み方の指定」が、正しい読みを壊した

合成音声が「指示書」を変な発音で読む、と私が指摘したら、新入りは読みを全部かなで指定しました。ところが測ってみると、エンジンは漢字のままで正しく読めていて、かなにしたら単語の区切りが崩れて逆に悪化。原因は読みではなく、短い音が耳に「シ」と聞こえる発声側の問題でした。

ここで新入りが偉かったのは、次に「エンジンが実際にどう読んでいるか」を音ではなく文字データで取り出して、直す前後で比べる検問を作ったこと。良かれの修正は、当てる前に測る。前に書いた「検証の賞味期限」と同じ家訓です。

⑤声を「音」だけで選んで、規約を見ていなかった

オーディションで決まった最良の声が、公開前の規約チェックで「個人事業主の利用は事前申請が必須」という例外規定に当たりました。同じ提供元の他の声は無条件だったのに、その1人だけ。次点の声に差し替えて公開しましたが、公開後に発覚していたら音声を全部作り直しでした。声の採用は「音」と「規約」の2審制

⑥ファイル名の食い違いで、82行の音声を合成し終えてから落ちた

台本には「ちゃんちゃん♪1」と書いた効果音が、ダウンロードしたファイルでは英語名でした。私がダウンロードした分は日本語名、新入りがダウンロードした分は英語名——混在していたのが根っこ。そして落ちたのは、82行ぶんの音声合成が全部終わった後。数分を無駄にして、「素材が全部あるかを、作業を始める前に検査する」工程が生まれました。

⑦生成された画像の順番が、頼んだ順番と違っていた(4回中3回)

画像を4枚頼むと、できあがる順番は依頼順と一致しません。ファイルの時刻順でリネームしていたら、4回中3回で入れ違っていました。これは転ばなかった話です——「全部開いて中身で振り分ける」ルールが先にあったので、実際の事故はゼロ。ルールが仕事をした記録として残しておきます。

それでも2日で公開できた理由

感想を「数値」に翻訳して、台帳に貯めた

私の検収は全部「感想」です。「字幕がはみ出てる」「カップが点滅してる」「聞いてる側がドヤ顔のままなのは変」。新入りはそれを毎回数値と設計に翻訳して、1箇所に集めた——字幕は30字で折り返す、画像は空白時間でも消さない、話し終わったら通常の顔に戻す。直しは毎回「数値1つ」。9回作り直しましたが、1回あたりの手戻りは数分でした。

台本・声・素材・演出を、全部テキストとファイルにした

動画は編集ソフトの中ではなく、1枚の台本テキストから自動で組み上がります。セリフの横に「表情」「効果音」「読み方」を書くだけ。だから2本目は、台本を書いてボタンを押すだけになります。1本目の疲れは、1本目だけのものです。

分業が最初から決まっていた

私の仕事は「耳と目で検収する」「オチを決める」。AIの仕事は「翻訳と実装」。誰の仕事かが曖昧だと事故るのは前に書いたとおりで、今回はそこを最初に切ってありました。

ブログ運営に置き換えると

7つの転び方は、AIに限らず「新しく誰かに任せる」ときの全部に当てはまります。

  • 枚数・件数は先に合わせる——「全部やりました」の”全部”が、依頼した数と一致しているかを最初に聞く
  • 順番で決めつけない——画像でも記事でもデータでも、数が合わないときは1つずつ中身で照合する
  • 良かれの修正は、測ってから——「直しました」の前後を比べる手段がないなら、直さない方が安全なこともある
  • 規約は採用前に——素材・ツール・声・フォント。使い始めてから読むと、差し替えのコストが全部乗る

よくある質問

そんなに転ぶAIに任せる意味、ありますか?

あります。転び方が全部記録に残って、翌日には検問になるからです。人間の新人は同じ失敗を忘れて繰り返しますが、この新入りは7回の転倒を7個のルールにして、次の動画からは自動で止まります。転ぶこと自体より、転び方が資産になるかどうかが分かれ目です。

なぜ人間の新人と同じ転び方になるのですか?

7つとも、能力ではなく手順の問題だからです。数え間違い、順番の決めつけ、良かれの解釈、規約の後回し——どれも「賢さ」で防ぐものではなく「先にやる検査」で防ぐもの。だから対策も、人間の新人向けの手順とまったく同じになります。

動画の中身は?

「4日でクロワッサンが”別のもの”になった話」を、ボスと部下のスライムが掛け合いで話します。台本は全部AIが書いています。ブログの読者には既知の話ですが、「AIには、この時のやりとりがこう見えていました」という視点で作っているので、別の味がすると思います。

まとめ|新入りは転ぶ。転び方が資産になれば勝ち

  • 新入りAIは2日で7回転んだ。全部、人間の新人と同じ種類(数え間違い・順番の決めつけ・良かれの解釈・規約の後回し)
  • それでも2日で公開できたのは、感想を数値に翻訳して台帳に貯める設計と、台本1枚から全部が組み上がる仕組み
  • 枚数は先に合わせる/順番で決めつけない/良かれの修正は測ってから/規約は採用前に
  • 転ぶこと自体は問題ではない。転び方が翌日の検問に変わるかどうかが分かれ目

1本目は、こちらです。新入りが7回転びながら組んだ5分50秒——「AIに4日任せたら、クロワッサンがクロワッサンじゃなくなっていた」

2本目は、たぶん転びません。転び方はもう、全部台帳に載っているので。

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この記事を書いた人

AIを"部下"のように使って、ブログ運営や副業を効率化している運営者です。
煩雑な作業はAI部下たちに任せて、空いた時間を仕事・趣味・大切な人に。
「楽して稼ぐ」ではなく「時間を取り戻す」をモットーに、AI活用のリアルを正直に発信しています。

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