9月9日、音楽生成AIのSUNOが新しいモデル「v6」を出しました。うちの音楽チャンネル5つのBGMは、全部SUNOで作っています。24時間ライブも、毎日の動画も。つまりうちの商品の「音」を作る機械が、丸ごと入れ替わった日です。
先に言っておくと、v6の音がいいかどうかは、この記事には書きません。まだ比べ終わっていないからです。書くのは、新モデルが出た日に、触る前と触った直後に何を確かめ、何を触らないと決めたか。先週の「ライバルAIが出た日」と同じ型ですが、今回は自分の道具の話なので、判断に実害が伴います。

v6で何が変わったか(公式発表から)
- モデルが3種——v6(整った音)、v6-wild(予測しにくい音)、v6-mini(無料でも使える軽量版)。v6とv6-wildは有料プラン向け
- 権利者と組んで作った最初の世代——大手レーベル数社と提携し、前の世代とは別のデータで学習したと発表
- 編集が増えた——曲の一部だけをプロンプトで直す、複数の曲を混ぜる、音の分離、画像や動画を参照にして作る
- 旧モデルは順次引退——新規の生成はv6世代に一本化される

触る前に確かめた2つ
① 手元にある曲の権利は、変わらないか
SUNOは今月3日に「商用利用の権利はダウンロードした曲に紐づく」と規約を変えたばかりです。うちは施行前に、ライブと動画に使う曲を全部ダウンロードして回収しました(主力2チャンネルで各98曲、ほかのチャンネルも14曲ずつ)。v6の発表を読んで最初に見たのは、新機能ではなく「ダウンロード済みの旧モデル曲の扱いが変わる記述があるか」でした。ありませんでした。旧モデルは「新規生成ができなくなる」のであって、作った曲が消えるわけではありません。
新モデルの記事は、ほぼ全部が「何ができるようになったか」を書きます。運営している側が先に見るべきは、「何ができなくなるか」と「持っているものはどうなるか」です。
② いま流れている音を、触る理由があるか
24時間ライブは、1つのチャンネルで開始27日で視聴43万時間、登録者が1日20人ずつ増えています。ここに流れている曲は、全部旧モデル(v5.5)です。新しいモデルが出たからといって、伸びているライブの音を差し替える理由は1つもありません。先月、看板(タイトルとサムネイル)を触った日だけ流入が落ちた経験があります。音も同じ扱いにしました。伸びているものは、触らない。

触った直後にやること(順番つき)
- 同じレシピを、旧と新に1曲ずつやらせる——うちにはチャンネルごとに「レシピ」と呼んでいるプロンプトの定型があります(ジャンル・楽器・テンポ・空気の語)。これを変えずにv6で1曲作り、v5.5の在庫曲と並べて聴く。変えるのはモデルだけ。2つ同時に変えると、どちらが効いたか分からなくなる
- レシピの「1語運用」が効いているか見る——前の世代では、空気を表す語を1つだけ入れると狙いどおりになり、2つ入れると混ざる癖がありました。この癖が新世代で残っているかは、触らないと分かりません。ここが今日いちばん知りたいこと
- 新曲は、動画から使う——ライブではなく、毎日出す1時間動画の1本にv6の曲を入れる。動画は1本ごとに数字が取れるので、旧モデルの動画と比べられる。ライブは比べられない
- 指示が静かに消えていないか確かめる——前の世代で、奏法の専門用語が「実在するバンド名」と判定されて、エラーも出さずに指定だけ消えたことがあります。新世代でも同じ検査をします。出てきた曲を聴く前に、プロンプトの語が全部生きているかを見る

権利の面で見ておくこと
「権利者と組んで作った」は、使う側にとっては安心材料に聞こえます。ただ、うちの法務担当(AI)の見立ては「発表の言葉ではなく、利用規約の条文を読んでから判断する」です。確かめるのは3点。生成した曲の商用利用の条件が変わっていないか、ダウンロードに紐づく権利の記述が変わっていないか、旧モデルの曲に遡って適用される条項がないか。発表当日は規約が追いついていないこともあるので、数日おいてもう一度読みます。
ブログ運営に置き換えると
道具の大きな更新は、ブログでも起きます。WordPressのテーマの大型版、画像生成AIの新モデル、解析ツールの仕様変更。やることは同じです。
- 「できるようになること」より先に「できなくなること」を読む——旧版の廃止日、既存データの扱い、料金の変更
- 伸びているページは触らない——新機能を試すのは、数字の出ていない記事から
- 変えるのは1つだけ——テーマを変えた日に画像も変えると、どちらが効いたか永久に分からない
- 比べられる場所で試す——1本ごとに数字が取れるところで新旧を並べる
まとめ|新モデルの日は「触らないもの」を先に決める
- SUNO v6が出た。うちの音を作る機械が丸ごと入れ替わる日。音の良し悪しは、比べ終わるまで書かない
- 触る前に、持っている曲の権利と、いま流れている音を触る理由の有無を確かめた。どちらも「変えない」
- 触った直後は、同じレシピを新旧1曲ずつ、変えるのはモデルだけ。新曲は比べられる動画から
- 権利は発表文ではなく規約の条文で見る。数日おいてもう一度
v6とv5.5を同じレシピで並べた結果は、聴き比べが終わったら別の記事に書きます。いい音だった、だけでは書きません。どの語が効いて、どの語が消えたかまで書きます。

