AIが「指定していない項目」は漂流する|4日でお菓子が果物になった話

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ある日、自分の作った画像を並べて見ていて、次々に気になりました。

  • キャラクターが、前より大きくなっている
  • お皿に載っているお菓子が、いつのまにか果物になっている
  • カップの取っ手が、なぜか両側についている

その日に見つかったズレは、全部で11個ありました。そして11個とも、見つけたのは私です。AIは1つも自分で見つけていません。

ここまでは「AIって抜けてるなあ」で終わる話です。でも数え直してみて、もっと大事なことに気づきました。11個の大半は「間違えた」のではなく、「そもそも決めていなかった」項目だったんです。

先に結論をお伝えします。指定しなかった項目は「AIの自由」になるのではありません。「毎回ランダムに決まる」んです。そしてランダムは、少しずつ同じ方向へ流れていきます。だから効く質問は「間違っていませんか?」ではなく、「決めていない項目はどれですか?」でした。

目次

4日で4段階、静かに漂流していた

いちばん分かりやすかったのが、お菓子でした。

過去の指示文を全部さかのぼって並べたら、こうなっていました。

1日目:クロワッサン
2日目:レモンタルト
3日目:メロン
4日目:オレンジ

誰も「変えよう」と決めていません。毎日「前日の指示をコピーして少し変える」を繰り返していただけです。1日ぶんの差は小さいので、そのときは誰も気づきません。でも4日たつと、パンだったものが果物になっていました。

これが漂流の怖いところです。1歩ずつは正しく見えるのに、行き先が変わっている。前の日とだけ比べていると、絶対に見つかりません。

指示に一言もなかった項目は、対称になる

カップの取っ手も傑作でした。指示文を読み返したら、「取っ手」という単語がそもそも1回も出てきませんでした。

指定がないとき、AIはいちばん無難な形を選びます。そして絵の場合、無難とはたいてい「左右対称」です。だから取っ手が両側に生えたカップが、何ヶ月も出続けていました。

以前画像が全部同じ構図になる問題を書いたときと、原因はまったく同じです。あのときは「背景を指定しないと最頻値で埋まる」でした。今回は「取っ手を指定しないと対称になる」。空欄は、空欄のままでは出てきません。必ず何かで埋まります。

なぜAIは自分で気づけないのか

理由はとてもシンプルでした。

AIは「書いてあること」は毎回きちんとチェックします。でも、書いていないことはチェックのしようがありません。

指示書を何度読み返しても、そこに無いものは見えない。これは能力の問題ではなく、構造の問題です。チェックリストは、リストに載っていない項目については無力なんです。

だから私は、確認の聞き方を変えました。

×「この指示、間違っていませんか?」
 → 書いてある範囲しか点検されない

○「この指示で、決めていない項目はどれですか?」
 → 空欄そのものを一覧にしてくれる

これは効きました。AIは自分の指示書の穴を、聞かれれば挙げられます。聞かれない限り、穴は穴として存在しないだけでした。

漂流を見つける方法|「前の日」と比べない

漂流を見つけるコツは、比較する相手を変えることでした。

  • 1週間前・1ヶ月前のものと並べる。前日とだけ比べると差が小さすぎて見えません
  • 指示文そのものを並べる。成果物より、指示文の変化を追ったほうが早く見つかります
  • 「変えていないつもりの項目」を先に決めておく。決めた項目だけを毎回見比べる

私は毎日「前日をコピーして少し変える」をやっていました。この方式そのものが漂流の原因です。コピー元を「前日」ではなく「最初に決めた基準の版」にするだけで、かなり止まりました。

ここからは成功した話|AIに先に言わせて、その言葉で縛る

同じ日に、うまくいった方法もありました。こちらのほうが実用的かもしれません。

絵の雰囲気を再現したいとき、「〇〇風で描いて」と指定すると、たいてい思ったものと違うものが出てきます。AIが出してくるのはその名前について学習した「平均像」だからです。

そこで、手順をこう変えました。

1. 手本を2〜3枚見せて
   「この画風の要点を箇条書きにしてください。まだ描かないでください」

2. 返ってきた説明を、人間が読む
   (的外れなら、1枚も生成する前に失敗が分かる)

3. 合っていたら
   「さっき自分で書いた5点を守って描いてください」

これが驚くほど効きました。AIは、自分で書いた条件をよく守ります。こちらが用意した指示文より、素直に守ってくれる感覚があります。

2番目の工程も地味に効きます。生成する前に失敗が分かるので、画像の生成回数を無駄に使いません。ズレていたらこの時点で言い直せます。

応用|「やってはいけない例」も挙げさせる

もう一段、効いた聞き方があります。キャラクターの座り方を決めたかったとき、こう聞きました。

この体型のキャラクターで、やってはいけない座り方も挙げてください

AIは3つ挙げてきました。それをそのまま「この3つは描かないでください」と突き返したら、一発で通りました。

自分で挙げた失敗例は、抽象的な禁止語よりずっと効きます。「不自然な姿勢にしない」と書くより、具体的な3つを名指しするほうが確実でした。

よくある質問

指示文を全部書き切れば解決しますか?

すべては書き切れません。絵なら光の向き、影の濃さ、小物の数……無限にあります。だから現実的な対策は「重要な項目だけ決めて、それ以外は漂流してよいと割り切る」ことです。私の場合、決めたのはキャラの姿・色・画風・線の太さでした。逆に背景はわざと毎回変えるようにしています。

文章を書かせるときも同じことが起きますか?

起きます。文体、一人称、見出しの粒度、読者への呼びかけ方あたりが漂流しやすい項目です。私も気づいたら「です・ます」の中に「だ・である」が混ざっていたことがありました。過去記事と並べて読むのが、いちばん早い発見方法です。

「先に言わせる」のは手間が増えませんか?

1手増えますが、やり直しの回数が減るので結果的に速いです。特に画像生成は1回あたりの待ち時間が長いので、生成前に方向を確認できる価値は大きいと感じています。

まとめ|空欄は、必ず何かで埋まる

  • 指定しなかった項目は自由になるのではなく、毎回ランダムに決まり、同じ方向へ流れていく
  • 4日で、お菓子がパンから果物になっていた。1歩ずつは正しく見えるのが漂流の怖さ
  • AIは書いてあることしかチェックできない。指示書の穴は、聞かれるまで存在しない
  • 効く質問は「決めていない項目はどれですか?」
  • 漂流は前日ではなく、1ヶ月前と並べると見つかる。コピー元は「基準の版」にする
  • いちばん効いた技はAIに要点を先に書かせて、その言葉で縛る。「やってはいけない例」も挙げさせる

私は11個のズレを、全部あとから見つけました。裏を返せば、並べて見るまでは1つも見つけられなかったということです。

今日つくったものと、1ヶ月前につくったものを、いちど並べてみてください。決めたつもりだったのに決めていなかった項目が、たぶんいくつか流れています。

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この記事を書いた人

AIを"部下"のように使って、ブログ運営や副業を効率化している運営者です。
煩雑な作業はAI部下たちに任せて、空いた時間を仕事・趣味・大切な人に。
「楽して稼ぐ」ではなく「時間を取り戻す」をモットーに、AI活用のリアルを正直に発信しています。

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