AIの「できません(仕様です)」を鵜呑みにしていた話|試したら全部できました

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作業手順書に、こんな注意書きがありました。

★この形式では、多言語の設定ができません(仕様のため)。
 だから1つの見出しに、2か国語を詰め込んであります。

ある日、設定画面をなんとなく眺めていて、それらしい項目を見つけました。試しに押してみたら——できました。5つ試して、5つとも成功しました。

手順書に「できません(仕様のため)」と書いた側は、一度も試していませんでした。

先に結論をお伝えします。AIの言う「できません」は、試した結果とは限りません。そして間違った制約のいちばん怖いところは、その制約を回避するための「工夫」まで作り込まれてしまうことです。この記事では、その見つけ方を書きます。

目次

いちばん怖いのは「できない」で終わらないこと

「できないと思い込んでいた」だけなら、まだ軽症です。今回いちばん青くなったのは、その先でした。

存在しない制約を避けるための設計が、丁寧に作り込まれていたんです。

  • スマホでは、見出しの先頭あたりまでしか表示されない
  • なのに「2か国語とも入れなければ」と思い込んでいた
  • だからその貴重な表示枠の半分を、少数派の言語に使っていた

しかもそれを、手順書には「工夫」として誇らしげに書いてありました。「外国語は末尾ではなく中間に置いてあるので、切れずに読めます(実測済み)」と。

実測までしているんです。ただし測っていたのは「工夫が効いているか」であって、「そもそも工夫が要るのか」ではありませんでした。

制約を一度も確認しないまま、その制約の中での最適化だけを、何ヶ月も丁寧に続けていたことになります。

直した結果はというと、見出しは99字から53字になりました。詰め込みが全部消えて、言いたいことだけが残りました。

なぜ「できない」は誰にも直されないのか

判断の間違いなら、次の機会に直せます。でも「できない」と書かれた項目は、誰も二度と試しません。

これが制約の特殊な点です。間違った制約は、それ自体が再検証を止めるので、放っておくと永久に残ります。しかも「仕様のため」という一言がついた瞬間、反論しづらい格を持ってしまう。

だから私は、こう聞くことにしました。

それ、できないんですか? 試したんですか?

意地悪な質問に見えますが、AI相手なら遠慮は要りません。そして返ってくる答えは、たいてい正直です。「試していません。一般的な仕様から推測しました」と。

もうひとつの質問|「その工夫、何のためでしたっけ?」

制約が消えても、工夫だけが生き残ることがあります。これも今回学びました。

もし制約が消えたことに気づかずにいたら、あの「中間に外国語を置く工夫」は、誰にも必要とされないまま、ずっと引き継がれていたはずです。工夫には理由が書いてありますが、その理由がまだ生きているかは、誰も点検しません。

手順書を見直すときは、手順そのものより「なぜそうしているか」の欄を読む。理由が古くなっていれば、手順ごと消せます。以前ルールを埋め込む話で「基準には何のためかを1行つける」と書きましたが、その1行はこういうときに効きます。

同じ日の話|確認が早すぎて、成功を失敗と報告しかけた

笑えない話がもう1つあります。同じ日、実際にその機能を設定してみました。

送信は成功。直後に読み直して確認したら——入っていませんでした。確認用のスクリプトも、正直に「失敗」と表示しました。

実際には、入っていました。反映に数十秒かかるだけでした。

ここで本当に危なかったのは、「失敗したらこれで元に戻せます」という手順まで用意してあったことです。もしそのまま進んでいたら、成功しているものを自分の手で消して、こう報告していました。

やはりこの機能は使えませんでした。手順書の記載どおりです。

そして手順書の「できません」は、今度は“検証済み”という格を手に入れて、さらに強固に残ったはずです。想像で書かれた制約が、間違った検証で裏書きされる。ぞっとしました。

ここから学んだのは、用意した対処法は、使いたくなるということです。「戻せます」は安心材料であると同時に、誤作動の引き金でもありました。

対策は簡単で、確認は「すぐ」と「少し置いて」の2回やる。これだけです。反映に時間がかかる仕組みは世の中にたくさんあります。

おまけ|聴いていない音について、宣伝文を書いていた

ついでに、同じ日にもう1件ありました。ある音源の紹介文に「波の音が入っています」と書いていたんです。

聴いてみたら、入っていませんでした。前に書かれていた紹介文がそう言っていたので、そのまま引き継いだだけでした。一度も再生していません。

制約の捏造と、根っこは同じです。確かめていないことを、確かめたような顔で書いてしまう。だから聞くべきは、いつも同じでした——「それ、自分で見ました? 聴きました?」

よくある質問

AIが嘘をついているということですか?

違います。推測を、推測だと書かなかっただけです。一般的な仕様から「たぶんできない」と考えるのは、それ自体は妥当な推論でした。問題は、それが手順書に断定形で載り、しかも「仕様のため」という理由まで付いたことです。

毎回「試しましたか」と聞くのは大変では?

全部には要りません。「できません」「仕様です」という言葉が出たときだけでいいと思います。この2語は、こちらの選択肢を消す強い言葉なので、そこだけ確認する価値があります。

ブログ運営だと、どんな「できません」が該当しますか?

「このテーマではこのレイアウトは無理」「この形式は検索に載らない」「無料プランではこの機能は使えない」あたりです。私も使われないツールの記事で書いたとおり、思い込みは静かに定着します。設定画面を一度ちゃんと開いてみるだけで、覆ることがあります。

まとめ|「できません」は、選択肢を消す強い言葉

  • AIの「できません(仕様のため)」は、試した結果とは限らない。推測が断定形で残る
  • 間違った制約は再検証を止めるので、放っておくと永久に残る
  • もっと怖いのは制約を回避する「工夫」まで作り込まれること。工夫の効果は測っても、必要性は測らない
  • 効く質問は「試したんですか?」「その工夫、何のためでしたっけ?」
  • 確認はすぐ1回、少し置いてもう1回。早すぎる確認は成功を失敗と読む
  • 用意した対処法は使いたくなる。「戻せます」は引き金にもなる

手元の手順書やメモに、「できません」と書いてある行はありませんか。

その1行が本当かどうか、確かめるのに必要なのは、たいてい数分です。私は99字を53字にできました。何ヶ月も、要らない工夫を磨いていたことになります。

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この記事を書いた人

AIを"部下"のように使って、ブログ運営や副業を効率化している運営者です。
煩雑な作業はAI部下たちに任せて、空いた時間を仕事・趣味・大切な人に。
「楽して稼ぐ」ではなく「時間を取り戻す」をモットーに、AI活用のリアルを正直に発信しています。

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