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外出先で、スマホの電波を使って作業していた日のことです。回線が細いので、大きな動画のアップロードには時間がかかるだろうと思っていました。
しばらくして、画面を見ると進捗がまったく動きません。何%まで進んだのかも表示されない。
「まだ途中だな」と判断して、いったん止めて、入れ直しました。それでも進捗が出ないので、もう一度同じことをしました。
結果がこれです。
同じ動画が、同じ場所に、3本。
先に結論をお伝えします。「進捗が見えない」と「まだ終わっていない」は、まったく別の話です。私は前者から後者を勝手に推定して、しかも確認せずに、破壊的な操作を2回やりました。この記事では、その防ぎ方を書きます。

診断は合っていたのに、結論を間違えた
あとで振り返って、いちばん悔しかったのはここです。
進捗が出なかった原因は、表示の設定ミスでした。処理そのものは正常に動いていて、ただ画面に出す部分だけが止まっていた。そしてその診断は、当時もちゃんとできていたんです。
「表示の問題で、見えていないだけだ」——ここまでは正解でした。
その次で間違えました。「見えていないだけ」なのに、「たぶんまだ途中だろう」と続けてしまったんです。見えないものを、悪いほうに推定した。
正しい診断:進捗が見えないのは、表示の問題である
↓
間違った推定:だから、まだ終わっていないだろう
↓
最悪の行動 :止めて、入れ直す
実際には、その回線は思ったよりずっと速く、止めた時点で1本目は完了していました。
速い回線は、失敗を加速する
面白いのは、回線が速かったせいで被害が大きくなったことです。
「外出先の細い回線だから、まだ途中のはず」——この常識が、そのまま嘘になっていました。想定より速く終わっていたから、止めるたびに1本ずつ完成品が増えていったわけです。
環境が変わると、経験に基づく常識のほうが先に古くなります。「これくらいかかるはず」は、確認の代わりにはなりませんでした。
30秒の確認を惜しんだ結果
確かめる方法は、ちゃんとありました。アップロード先の一覧を1回開けばいいだけです。上がっていれば、そこに並んでいます。
30秒もかかりません。それを飛ばして「たぶんまだ」で動いた結果、その日に使える処理量の約半分を無駄に消費しました。予定していた残りの作業は、その日はできなくなりました。
そこで、こういうルールにしました。
止める・消す・入れ直す。
この3つをやる前は、必ず「結果の側」を1回だけ見る。
ポイントは「結果の側」です。処理の画面をいくら睨んでも、今回のように表示が壊れていれば何も分かりません。見るべきは成果物が実際にどうなっているかでした。
これは読まれていないファイルの記事で書いた「本番を見る」と同じ話です。あのときは直したのに変わらない、今回は終わったのに見えない。どちらも、手元ではなく向こう側を見れば一発でした。

道具の側にも穴がありました
私の判断だけの問題ではありませんでした。使っていた仕組みにも、はっきりした欠陥がありました。
「送る前に、同じものがすでに送られていないか確かめる」という検問がなかったんです。だから同じものを何度でも送れてしまいました。
そして、もし検問をつけていたとしても、危なかったかもしれません。理由がこれです。
- 完了の記録は、処理がすべて終わったときに書く設計だった
- 途中で強制的に止めると、記録だけが書かれない
- でも送信そのものは、もう完了している
事実は起きているのに、記録が無い状態です。もし検問が「記録を見て判断する」仕組みだったら、記録が無いので「まだ送っていない」と判定して、素通りさせていました。
ここから得た教訓が、今回いちばん大きいものでした。
「もう済んでいないか」の確認は、
自分の記録ではなく、外部の事実を見る。
自分がつけた記録は、記録が消える経路が1つでもあれば信用できません。実際に向こうにあるかどうかを、毎回見るのが正解でした。手作業の漏れの記事で「あとから全部を数える仕組みが要る」と書きましたが、その数える相手も台帳ではなく実物である必要がある、ということです。
ブログ運営で、同じことが起きる場面
- 予約投稿:反映されて見えないので、もう1本作って二重公開
- 画像アップ:進捗が止まって見え、何度も押して同じ画像が複数登録される
- メール送信:送信済みの表示が出ないので、もう一度送ってしまう
- SNS投稿:反映が遅いだけなのに、失敗したと思って再投稿
どれも共通しているのは、「見えない=失敗した」と読んでしまうことです。そして、もう一度やり直すという行動が、いちばん被害を大きくします。
私は確認が早すぎて成功を失敗と読んだ話も書きました。あのときの対策は「すぐ1回、少し置いてもう1回」でしたが、今回はさらに手前で、そもそも見る場所が違ったわけです。
よくある質問
進捗表示は直したのですか?
直しました。ただ、直すこと自体はあまり本質ではないと思っています。表示はまた壊れます。大事なのは、壊れたときに「じゃあ結果側を見よう」と切り替えられることでした。
AIに任せていたら防げましたか?
いいえ、今回はAIと一緒に踏みました。AIも「進捗が見えない」から「まだ途中」を推定します。だから頼み方を変えました。「止める前に、向こう側の一覧を確認して」と先に言っておく。ルールを埋め込む話と同じで、手順に入れないと守られません。
重複して困るのは何ですか?
今回は公開前だったので、読者への影響はゼロでした。でも1日に使える処理量には上限があり、そこを大きく削られました。「取り返せる失敗」でも、時間や枠は返ってきません。今回いちばん高くついたのは、その日の予定でした。
まとめ|見えないものを、悪いほうに推定しない
- 「進捗が見えない」と「終わっていない」は別。診断が正しくても、そこから先を推定すると外す
- 止める・消す・入れ直す前に、結果の側を1回だけ見る。30秒で済む
- 見るのは処理の画面ではなく成果物が実際にどうなっているか
- 「もう済んでいないか」の確認は、自分の記録ではなく外部の事実を見る(記録は消える経路がある)
- 環境が変わると、経験の常識が先に古くなる。「これくらいかかるはず」は確認の代わりにならない
何かが「見えなくなった」とき、私たちはつい悪いほうを想像します。そして、やり直そうとします。
でも見えないことは、失敗の証拠ではありません。もう終わっているかもしれない。それを確かめるのに必要なのは、たいてい30秒です。

