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公開のたびに手作業でやっている、小さな登録作業があります。毎回やっている作業です。忘れるはずがない、と思っていました。
先日その作業を自動化するついでに、念のため過去のぶんを全部つき合わせるスクリプトを書いて流してみました。結果はこうです。
登録漏れ:合計12件
しかも数ヶ月前のものから昨日のものまで、まんべんなく漏れていました。前日と前々日にやったはずのぶんすら、入っていなかったんです。
先に結論をお伝えします。手作業は「たまに忘れる」のではなく、「常に低い率で漏れ続ける」。だからやっている本人には、絶対に気づけません。そして自動化の本当の価値は、速くなることより「数えられるようになること」のほうにありました。

なぜ気づけないのか|漏れても、誰も何も言わない
この手の作業には、共通の特徴があります。
- やり忘れてもエラーが出ない。画面は何も言わないし、公開自体は普通に成功している
- 漏れた側から声が上がらない。ただ静かに、人の目に触れにくくなるだけ
- 「毎回やっている」という記憶のほうが間違っている。やった回は覚えているのに、やらなかった回は記憶にすら存在しない
3つ目がいちばん厄介でした。記憶というのは「やったこと」でできています。やらなかったことは、思い出そうにも中身がない。だから自己申告では永久に見つかりません。
「慣れていないから漏れる」でもなかった
私がいちばん驚いたのは、12件のうち2件がその週にやったばかりのぶんだったことです。
慣れていないから漏れる、疲れていたから漏れる、という話ではありません。作業の熟練度と、漏れる率は関係なかった。何十回もやって手が覚えているはずの作業が、それでも一定の率で漏れ続けていたわけです。
チェックリストでは防げません
「チェックリストを作ればいいのでは」と思われたかもしれません。私も最初にそう考えました。
でも、よく考えると変なんです。作業を忘れる人は、チェックリストにチェックを入れることも忘れます。チェックリストは作業をひとつ増やしているだけで、漏れる構造そのものは何ひとつ変わっていません。
ここは前回書いたルールを埋め込む話とまったく同じ構造でした。人の注意力の上に置いたものは、遅かれ早かれ落ちます。防げるのは「あとから全部を数える仕組み」だけです。
自動化の順番|まず「監査するコード」から書く
今回の経験でいちばん変わったのは、自動化の順番についての考え方です。
ふつうは「作業を置き換えるコード」から書きたくなります。でもおすすめは逆でした。
【おすすめの順番】
1. 数えるコードを書く(今どれだけ漏れているかを知る)
2. 漏れの量を見て、自動化する価値があるか判断する
3. それから作業を置き換える
4. 置き換えたあとも、1の数えるコードは残しておく
数えるコードのほうが、たいてい簡単に書けます。読み取って照合するだけで、何も壊す心配がないからです。それでいて「自動化する価値があるか」の答えが先に出ます。今回も、12件という数字を見た瞬間に迷いが消えました。
そして4番目が大事です。置き換えたあとも数えるコードを残しておけば、新しい仕組みが静かに壊れたときにも気づけます。自動化は「もう安心」の同義語ではありません。
AIに頼むときも、この順番でお願いすると話が早いです。「この作業を自動化して」より、「まず、この作業がちゃんとできているか全部照合して数えて」から入る。AIはこういう数え上げがとても得意で、しかも遠慮なく事実を出してきます。

見つけるための3つの質問
自分の作業に漏れがあるかどうかは、この3つで見当がつきます。
①「やり忘れたら、どこかにエラーが出ますか?」
答えが「出ない」なら、その作業はほぼ確実に漏れています。あとは量の問題だけです。逆に、忘れると赤いエラーが出る作業は、放っておいても勝手に守られます。
②「全部やったことを、あとから数えられますか?」
数えられない作業は、管理されていないのと同じです。数えられる形にするだけで、漏れは半分見つかります。
③「その記憶、やった回のことだけ思い出していませんか?」
「毎回ちゃんとやってます」という自信は、やった回の記憶だけで作られています。私もそうでした。この自信ほどあてにならないものはありません。
よくある質問
ブログ運営だと、どんな作業が該当しますか?
「やらなくても公開できてしまう」作業がすべて該当します。内部リンクの追加、カテゴリやタグの設定、旧記事からの導線追加、画像のalt属性、公開後のSNS投稿あたりです。どれも忘れてもエラーは出ませんし、記事はちゃんと公開されます。私は画像整理の記事のときにも似た経験をしました。
プログラムが書けないのですが
この手の「数える」処理こそ、AIに頼むのがいちばん向いています。書けなくても、何と何を突き合わせたいかを説明できれば十分です。私も自分では書いていません。手作業で全部を目視で数えるのでも構いませんが、その場合は数えること自体が漏れますのでご注意を。
漏れが見つかったら、全部さかのぼって直すべき?
直せるなら直したほうがいいです。私も12件すべて登録し直しました。ただ本題は過去の修正より、同じ漏れが明日も発生する状態を止めることだと思います。直すのは1回、仕組みは毎日効きます。
まとめ|自動化の価値は「速さ」より「数えられること」
- 手作業はたまに忘れるのではなく、常に低い率で漏れ続ける
- 気づけない理由はエラーが出ない・誰も文句を言わない・やらなかった回は記憶にないから
- 熟練しても漏れる。直近にやったばかりのぶんすら漏れていた
- チェックリストでは防げない(チェックを入れ忘れる)。効くのは後から全部を数える仕組み
- 自動化は「数えるコード」から書く。置き換えはそのあと、数えるコードは残す
もし「毎回ちゃんとやっている」作業に心当たりがあるなら、一度だけ全部を数えてみてください。速くするためではなく、確かめるために。
私は12件でした。エラーはひとつも出ていませんでしたし、誰からも苦情は来ていませんでした。バケツに穴が空いていても、水は静かに減るだけなんです。

