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シリーズものを作るとき、こんなルールを決めていました。
前回と同じ数字は、1つも使わない。
そうすれば、毎回ちゃんと違うものになる。
いいルールだと思っていました。実際、1本目と2本目はうまくいきました。
3本目を作ろうとして、手が止まりました。使える数字が、もう残っていなかったんです。
先に結論をお伝えします。「毎回ちがう値にする」型のルールは、母数を数えないと必ず在庫切れします。しかも切れる瞬間まで、誰も気づきません。この記事では、始める前に確かめる方法と、切れてしまったときの抜け方を書きます。

割り算をしていなかった
数えてみたら、答えは一瞬で出ました。
使える値の範囲 → 21個
1本目で使った数 → 10個
2本目で使った数 → 10個
残り → 1個
3本目に10個必要なのに、残りは1個。算数として不可能でした。
怖いのは、このルールを決めた時点で「2回しかもたない」ことが確定していたことです。21個を10個ずつ使えば、2回で終わる。始める前に割り算を1回するだけで分かりました。
でも1本目のときは、余裕たっぷりに見えるんです。21個のうち10個しか使っていないので、「まだ半分ある」と感じる。在庫切れは、最後の1回まで気配がありません。
「毎回ちがう」系のルールは全部これ
この形のルールは、身の回りにたくさんあります。
- 前回と違う背景にする(私も書きました)
- 過去に使ったタイトルの型は使わない
- 同じ切り口を2回続けない
- 毎回ちがう色を使う
どれも良いルールです。ただし「候補は何個あって、1回に何個使うのか」を数えていないと、いつか必ず詰まります。私が背景ローテーションで「直前2回と同じものは避ける」という緩い形にしていたのは、たまたま正解でした。「一度使ったら二度と使わない」にしていたら、とっくに切れています。
もっと悪いこと|ルールを守るために、設計が壊れていた
2本目を作り直してみて、気づいたことがあります。
2本目は、ルールを守るために使ってはいけない範囲まではみ出していました。その範囲は別の用途に割り当ててあった場所です。
順番に並べると、こうなります。
- 「重ならないように」というルールを守ろうとする
- 範囲内の空きが足りなくなる
- やむを得ず、隣の範囲へはみ出す
- ルールは守られた。代わりに、もっと大事な設計が壊れた
誰も気づきませんでした。ルールは守れているので、点検に引っかからないんです。
以前ルールを埋め込む話を書いたときは「守るコストが高いと破られる」でした。今回は逆で、守るコストを払いすぎて、別の場所が犠牲になった形です。ルールは守れば守るほど良い、というものでもありませんでした。
抜け方|ルールではなく、目的に戻る
詰まったとき、私は最初「どうやってルールを守るか」を考えていました。範囲を広げるか、条件を緩めるか。
でも、そもそも何のためのルールだったかを思い出したら、話が変わりました。
ルール =「前回と同じ数字を使わない」
目的 =「並べたときに、ちゃんと違って感じられる」
目的は「違って感じられること」であって、「数字が重ならないこと」ではありませんでした。数字を重ねない、は目的を達成するための1つの手段にすぎません。
そう気づいたら、別の手が見えました。今回使ったのは「散らばり方」で違いを出すという軸です。
- 1本目=広い範囲にばらけている
- 2本目=やや広い範囲にばらけている
- 3本目=いちばん狭い範囲にぎゅっと固める
数字そのものは重なっていても、まとまり方が違うので、並べたときの印象は明確に別物になりました。しかも「密集している」という特徴が、その回の署名になります。
ついでに、はみ出していた範囲も元に戻せました。軸を変えたら、壊れていた設計まで直ったわけです。

始める前にやる、たった1回の割り算
再発防止として、ルールを作るときに1つ足しました。
候補の総数 ÷ 1回に使う数 = このルールが何回もつか
これを出して、「続ける予定の回数」と比べるだけです。足りなければ、その場でルールを緩めます。
緩め方は3通りありました。
- 期限をつける:「一度使ったら二度と」ではなく「直前2回は避ける」。私が背景でやっているのはこれです
- 軸を複数持つ:1つの軸が切れても、別の軸で違いを出せるようにしておく
- そもそも重複を許す:目的が達成できるなら、重なっていても構わない
特に2つ目が効きます。違いを出す軸を1本しか持っていないと、その1本が切れた瞬間に手詰まりになるからです。
おまけ|ここでも道具が迂回されていました
同じ日、もう1つ見つかりました。同じシリーズの3本を並べて、背景の色を測ってみたんです。
3本とも、違う色でした。指定したはずの色は、1本も出ていません。
色を揃えるための道具は、ちゃんと作ってありました。手順書にも「必ず通す」と書いてあります。一度も通っていませんでした。
これは使われないツールの記事で書いたことの再演です。あのときの教訓は「稼働率ではなく採用率を見る」でしたが、今回はさらに一段ありました。
その道具は、工程の途中までしか掛けられないものでした。加工が進んだ後では、もう使えません。つまり「あとで直せばいい」が成立しない道具だったんです。
手順書に足したのは、この1行でした。
この道具は「この工程まで」しか掛けられない。
それより後では直せない。
道具の説明には「何ができるか」だけでなく「いつまでなら効くか」を書く。これも今回の収穫でした。
よくある質問
ルールを緩めたら、質が下がりませんか?
下がりませんでした。むしろ今回は、軸を変えたことで前より特徴のはっきりしたものができました。ルールは質を守るための道具であって、質そのものではありません。守れないルールを無理に守るほうが、質を落とします。
ブログだと、どんなルールが在庫切れしますか?
「タイトルの型を使い回さない」「同じ書き出しを2回使わない」「アイキャッチの構図を毎回変える」あたりです。型は10種類もないので、続けるとすぐ尽きます。私は型は使い回す前提にして、中身のほうで違いを出すようにしました。
AIに管理させれば防げますか?
途中までは防げます。ただしAIも「このルールは何回もつか」を聞かれない限り計算しません。決めていない項目の話と同じで、ルールを作った瞬間に「これ、何回もちますか?」と聞くのが確実でした。1回聞くだけです。
まとめ|ルールにも賞味期限がある
- 「毎回ちがう値にする」型のルールは、母数を数えないと必ず在庫切れする
- 切れる瞬間まで気配がない。1本目は余裕たっぷりに見える
- ルールを守るために、もっと大事な設計が壊れることがある。しかも点検に引っかからない
- 詰まったらルールではなく目的に戻る。手段は他にもある
- 作るときに「候補の総数 ÷ 1回に使う数」を1回だけ計算する
- 違いを出す軸は、複数持っておく。1本だと切れた瞬間に手詰まり
いま運用しているルールの中に、「毎回ちがうものにする」という形のものはありませんか。
もしあれば、割り算を1回だけしてみてください。あと何回もつかが、すぐ出ます。私の場合は、答えが「2回」でした。そして3回目に立っていました。

