AI動画が言うことを聞かない時の”手なずけ”プロンプト術|毎日使って編み出した4つの型

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「静かな庭の映像を作って」と頼んだのに、画面の奥から謎の生き物が走ってきた——AI動画生成を使い始めると、こういうことが毎日起きます。

先に結論をお伝えします。AI動画が言うことを聞かない時の対策は、この4つです。①カメラ・動き・静止の3ブロックで書く、②「出さないでほしい物」の名前は書かない、③動かすものを2〜3個だけ宣言する、④色は最初と最後の2回固定する。特に②は直感に反しますが、効果がいちばん大きい発見でした。

私はAIで動画コンテンツを毎日作っていて、これまで数百本の映像を生成してきました。この記事は、その中で実際に負けて、勝ち方を覚えた記録です。ツールの公式ガイドには載っていない、現場で編み出した「手なずけ方」をまとめます。

目次

まず知ってほしい|AI動画は「静かにしていてくれない」

AI動画生成は、静止画から短い映像を作る「Image to Video」が主流です。1枚の絵を渡して、指示文(プロンプト)で動きを伝えると、数秒の動画になって返ってきます。

ここで最初の壁にぶつかります。AIは「動画を作れ」と言われると、何かを動かさずにはいられないのです。私が実際にやられた代表的な暴走を4つ挙げます。

  • 謎の生き物が走ってくる:無人の庭を頼んだのに、犬とも猫ともつかない動物が画面奥から駆けてきました。指示文には「人・鳥・蝶は出さない」と書いていたのに、「その他の動物」を禁止し忘れていたのです
  • 停めた乗り物が走り出す:「駅に停車中の夜汽車」を3回作って、3回とも発車しました
  • いつの間にか早送りになる:ゆっくりした映像を頼んだのに、雲がものすごい速さで流れる、いわゆるタイムラプス(早送り)映像になってしまう
  • 物が溶ける・色が変わる:机の上の鉛筆がノートと融合して溶けたり、映像の途中から全体の色味が別物に変わったりします

笑い話のようですが、1本の生成にはお金(クレジット)と待ち時間がかかります。3回外せば、その日の作業がまるごと消えることもあります。だから対策が必要なのです。

手なずけ方①|指示文は「3ブロック」で書く

まず土台になる型です。私は指示文を、必ずこの順番の3ブロックで組み立てています。

  1. カメラを固定する宣言——ズーム・パン・回転をすべて止める
  2. 動かすものだけを名指しする——2〜3個まで。その場で(in place)、現在形で
  3. それ以外は静止と宣言する——「他のすべては完全に止まったまま」と言い切る

英語で書くとAIに伝わりやすいので、私は英語で指示しています。実際に使っている骨格がこちらです。

Static locked camera — no camera movement, no zoom, no pan, no rotation, no drift.
The scene unfolds in calm real time at natural speed.
The only movements in the entire scene are these two:
(動かしたいもの1), (動かしたいもの2).
Everything else stays completely still.
Seamless subtle loop.

ポイントは2行目の「calm real time at natural speed(穏やかな実時間・自然な速さで)」です。この一文を入れる前は、勝手に早送りになる事故が頻発していました。AIには「普通の速さで」という常識がないので、わざわざ言葉にしてあげる必要があります。

手なずけ方②|出したくないものの名前を、書いてはいけない

ここが今回いちばんお伝えしたい発見です。私はこれを「言及=召喚(しょうかん)の呪い」と呼んでいます。

空をきれいなままにしたくて、指示文に「no airplanes(飛行機を出さないで)」と書いたことがあります。結果、飛行機が飛びました。書かなかった時には一度も出てこなかったのに、禁止した瞬間に湧いたのです。

理由は仕組みを考えると納得できます。AIは指示文の言葉から連想して映像を組み立てるので、「飛行機」という単語を入れた時点で、飛行機のイメージが場に呼び出されてしまう。「〜しないで」という否定の形が、うまく効かないことがあるわけです。

そこで私が使っている回避策が、「肯定形で空きスペースを塞ぐ」という書き方です。

【NG】no airplanes, no birds, no drones
 → 名指しした物が逆に出てくることがある

【OK】The sky remains completely empty, clear and unchanged.
 → 「空は完全に空っぽのまま」と埋めてしまう

【OK】nothing enters the frame, nothing flies through the scene.
 → 具体的な名詞を出さない汎用的な封じ方

「出さないでほしいもの」があったら、その名前を書くのではなく、その場所を別のもので満たす。空なら「空っぽのまま」、通路なら「誰も通らない」と、状態を肯定形で固定します。

ただし例外があります。ツールによっては「ネガティブプロンプト」という、出したくないものを書く専用の入力欄が用意されていることがあります。専用欄がある場合は、そこに名詞を並べても問題ありません(本文とは処理が別のため)。専用欄がないツールの本文で名詞を並べるのが危険、ということです。

手なずけ方③|「動くのはこの2つだけ」と独占させる

もうひとつ、経験から見つけた法則があります。私が勝手に「動きの総量保存」と呼んでいるものです。

AIは「動画である以上、これくらいは動かすべきだ」という総量を持っているように見えます。だから、こちらが動かすものを厳しく制限すると、その余った分をどこかで使おうとして、頼んでいないものが動き出すのです。冒頭の「謎の生き物」も、静かすぎる庭の映像で、AIが動きの持ち場を探した結果だったのだと思っています。

対策はシンプルで、動くものを先に指定して、枠を埋めてしまうことです。

The only movements in the entire scene are these two:
the water surface ripples gently in place,
the steam rises slowly from the cup.

「動くのはこの2つだけ」と宣言してしまえば、AIはその2つで動きの欲求を満たせます。空欄を残さないのがコツです。なお、動かすものは2〜3個が限界で、それ以上並べると全部が中途半端になりました。

ちなみに、頼んでもいないのに湧きやすい常連さんがいます。花びら、蝶、鳥、小舟、そして雲です。特に雲は要注意で、「ゆっくり流れる雲」と書いただけで映像全体が早送りになることがありました。空を止めたい時は、こう書いています。

The sky and the clouds remain completely still,
frozen like in a photograph.

「写真のように凍りついたまま」。ここまで言い切って、やっと止まってくれます。

手なずけ方④|色は「最初」と「最後」の2回固定する

映像の後半で色味が変わってしまう問題には、指示文の前半と後半に1回ずつ、色を固定する文を置くのが効きました。前後で挟み込むイメージです。

【前半に置く】
The overall lighting, exposure and colors remain constant and steady
from the first frame to the last frame, no color correction,
no white balance change.

【後半に置く】
and the same (実際の色の名前) color palette of the very first frame
persists unchanged to the very last frame.

ここで大事なのが、色の名前は「その絵の実際の色」を書くことです。夕焼けで金色の絵に「green(緑)」と書いてしまうと、AIがその色に引っ張られて逆効果になりました。当たり前のようですが、テンプレートを使い回していると、うっかりやりがちな事故です。

物が溶ける問題にも似た対策が有効です。動かしたくない小物には、「これは独立した固い物体である」とアイデンティティを宣言してあげると、輪郭を保ってくれるようになりました。指示文で存在を保証しないと、AIの世界では鉛筆すら形を保てないのです。

それでも勝てない時|「柔道」で受け流す

ここまで対策を並べてきましたが、正直に言うと、どうしても勝てない相手はいます。冒頭の夜汽車がそれでした。3回作って3回とも走り出した時点で、私は方針を変えました。

企画のほうを「走る夜汽車」に変更したのです。すると一発で、狙い以上の映像が返ってきました。悔しいことに、走っている夜汽車のほうが明らかに絵になっていました。

私はこれを「柔道の原則」と呼んでいます。相手の力に逆らわず、利用する。AIが強くやりたがることは、たいていそのモデルが得意なことでもあります。人間のこだわりを1つ捨てて、AIの得意技を採用したほうが、時間もクレジットも作品の質も得をする場面は少なくありません。

もうひとつ、失敗作を捨てない工夫もお伝えします。早送りになってしまったクリップは、編集で8〜10倍にスロー再生し、フレーム補間(コマとコマの間を自動生成してなめらかにする処理)をかけると「ゆっくり流れる雲」の映像として使えることがあります。無料ソフトのFFmpegを使う場合のコマンド例がこちらです。

ffmpeg -i in.mp4 -vf "minterpolate=fps=24:mi_mode=mci,setpts=9*PTS" -an out.mp4

生成し直せばクレジットを消費しますが、これなら電気代だけで済みます。失敗作を作り直すより、使い道を変えるほうが安い——これも現場で覚えたことです。

ツールによって「性格」が違う

ここまでの手なずけ方は共通して使えますが、ツールごとに性格の違いもあります。私が実際に使ってきた2つについて、正直な印象を書きます。

ツール使ってみた印象
Seedance元の画像への忠実度が高い。ただし頼んでいない演出を足してくる”サービス精神”がある。禁止事項を書く専用欄がある世代では、名詞を並べて止められる
Kling書いたことに素直に従う印象。ただし新しい世代では禁止事項の専用欄がなくなっており、本文で「言及=召喚」に気をつける必要がある

また、世代が古いモデルにしかない便利機能もあります。たとえば「動かしたい場所を絵の上で塗って指定する」モーションブラシのような機能は、頑固な案件の最終手段として今も現役です。最新版が常に最強とは限らない、というのは覚えておくと役に立ちます。

※各ツールの仕様・料金・機能は2026年7月時点の私の利用環境での話です。更新が非常に速い分野なので、最新情報は各公式サイトでご確認ください。動画生成そのものを試したことがない方は、まずSeedanceで動画を作ってみた記事から読むと流れがつかめます。

よくある質問

指示文は英語で書かないとダメですか?

日本語でも生成はできます。ただ私は英語で書いています。海外製のツールが多く、細かいニュアンスが安定しやすい体感があるためです。英語が苦手でも大丈夫で、日本語で書いた指示文をChatGPTに英訳してもらう運用で十分回せています。指示文づくりの基本はプロンプトの書き方の記事にまとめています。

何回くらい作り直せば当たりますか?

内容によりますが、私の場合は2〜3回で採用できるものが出れば良いほう、という感覚です。同じ指示文でも結果が毎回変わるので、ある程度の”ガチャ”は前提として、クレジットの残量を見ながら回数を決めています。3回外したら、指示文を直すか企画を変えるかを判断するようにしています。

思った通りにならないのは、私の書き方が下手だからですか?

いいえ、多くは書き方ではなく仕組みの問題です。AIは「言われた通りに再現する装置」ではなく「確率的にそれらしい映像を作る装置」なので、同じ指示でも結果はぶれます。ただ、この記事の型を使うと”当たりの確率”は確実に上げられます。うまくいかない時の直し方はAIの回答がイマイチな時の直し方も参考にどうぞ。

専門用語が多くてついていけません

この分野はカタカナ語が多いので、わからない言葉が出てきたらAI用語50語をまとめた保存版を辞書代わりに使ってください。プロンプト、ネガティブプロンプト、シード値など、動画生成でよく出る言葉も入れてあります。

まとめ|AI動画は「命令」ではなく「交渉」

  • 指示文は3ブロック(カメラ固定 → 動かすもの2〜3個 → それ以外は静止)で書く
  • 「普通の速さで」は明示する。書かないと早送りになることがある
  • 出したくないものの名前は書かない。肯定形で「空っぽのまま」と場所を塞ぐ
  • 動くものを先に宣言して枠を埋める。空けておくと勝手なものが動き出す
  • 色は前半と後半で2回固定する。色名は必ず実際の絵の色で
  • 3回負けたら「柔道」。AIの得意技を企画として採用したほうが早い
  • 失敗クリップはスロー+フレーム補間で資産に変えられる

AI動画生成を1ヶ月以上毎日触ってきて感じるのは、これは命令ではなく交渉に近いということです。完全に思い通りにはなりませんが、どこで押してどこで引くかを覚えると、驚くほど言うことを聞いてくれるようになります。

そして、うちのマスコットに足が生えてきた頃から変わらない結論がもうひとつ。指示文の定型が長くなるほど、それは過去に事件があった証拠だということです。あなたの指示文にも、今日からきっと1行増えます。その1行は、明日からずっと効き続ける資産になります。

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この記事を書いた人

AIを"部下"のように使って、ブログ運営や副業を効率化している運営者です。
煩雑な作業はAI部下たちに任せて、空いた時間を仕事・趣味・大切な人に。
「楽して稼ぐ」ではなく「時間を取り戻す」をモットーに、AI活用のリアルを正直に発信しています。

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