9月下旬、雨の日の古民家の絵を、画像を作るAI(Midjourney)に描かせていました。窓の外には実った黄金色の稲。部屋の中では、薪ストーブが赤々と燃えていました。それを見た社長のひと言は「稲刈り前に、ストーブを入れるほど寒くならないよ」。
先に結論です。季節の辻褄(つじつま)は、AIも、プロンプトを書いた側も見落とします。防ぐには、雰囲気の言葉を足す前に「その月に、その道具は出ているか」を1行ずつ確かめること。そして、言葉で直らないものは、季節を問わない物に置き換えるのがいちばん早い近道でした。この絵では、季節がらみの突っ込みが合計4回入りました。その4回と直し方を置いておきます。

何が起きたか:「季節ポリス」が4回出動した
絵の季節や道具のおかしさを見つけて突っ込んでくる見る人のことを、社長は「季節ポリス」と呼んでいます。前に、水車の絵で突っ込まれたことがあるそうです。今回は、公開する前に社長が先回りして見つけました。
この記事の絵は、当時の絵ではなく、説明のためにあらためてAIに描かせた再現です。
- 1回目:稲刈り前の薪ストーブ。実はストーブは、AIが勝手に足したのではありません。プロンプトを書いた部下(Claude)が「秋・雨・こもれる部屋」の雰囲気で入れていました。AIは頼まれたとおり描いただけです
- 2回目:障子がカビだらけ。「何百年も前からある」「使い込まれた」と古さを強める言葉を入れたら、障子や襖にシミとカビが広がった
- 3回目:部屋の床が水浸し。「雨」「濡れた」を入れたら、外だけでなく部屋の床までびしょ濡れになった。雨が家の中に入っている
- 4回目:柱の上に雨が降る。止まった絵を動画にするAI(Kling)にかけたら、部屋の中の太い柱の上に、雨の筋が流れた

外れ方から分かったこと
AIの中まで確かめたわけではありません。4回の外れ方から言えるのは、次の3つです。
- 雰囲気の言葉は、季節を連れてこない。「こもれる」「あたたかい」から暖房を足したくなるのは、AIも人も同じ。でも実った稲と暖房は、同じ月に並ばない
- 強める言葉は、行き過ぎる。「古い」を強めるとカビになり、「雨」を強めると家の中まで濡れる。言葉は足した分だけ、絵のあちこちに広がる
- 動画のAIは、場所を区別しないことがある。「雨が降っている」絵を動かすと、外か中かを見分けずに、部屋の中の柱の上にも降らせた
直し方1:季節を問わない物に置き換える(囲炉裏)
ストーブを消すか、季節を秋の終わりに動かすか。社長と相談して選んだのは、囲炉裏(いろり)に置き換えることでした。囲炉裏は暖房というより、一年中、湯を沸かしたり煮炊きしたりする場所です。鉄瓶から湯気が立っていても、残暑の9月で不自然ではありません。
ストーブの絵は捨てずに、稲刈りが終わって稲を干す頃(10月下旬)に使う差し替え用に回しました。季節が合えば、同じ絵が正解になります。

直し方2:強める言葉を、手入れの言葉に替える
カビと水浸しは、言葉の入れ替えで直りました。古さを強める言葉をやめて「手入れされた古さ」に。濡れる場所は「外の石だけ」と場所を書きます。あわせて、出てほしくない物を除外の欄に並べました。
| やりがち(行き過ぎた) | 効いた書き方 |
|---|---|
| 何百年も前からある、使い込まれた | 手入れされた古い家、代々磨かれてきた梁 |
| 障子(何も書かない) | 白くてきれいな紙の障子 |
| 雨、濡れた石 | 濡れているのは外の石だけ(まだ濡れるなら「部屋の床は乾いている」も足す) |
| (何も除外しない) | カビ、シミ、破れた紙、汚れ、傷みを除外する |
Midjourneyのプロンプトは英語で書いています。実際に入れ替えた言い回しはこれです。
# 行き過ぎた例(障子がカビだらけ、床が水浸しになった)
a centuries-old Japanese thatched farmhouse,
weathered shoji, soft rain, wet stones
# 効いた例
a well-kept old Japanese thatched farmhouse,
dark beams polished by generations of care,
clean white paper shoji, soft rain, wet stones outside
--no mold, stains, torn paper, dirt, damage
直し方3:動画では、柱だけ止める
柱の上の雨は、言葉で直そうとするとまた別の所が崩れそうでした。そこで、柱のところだけ、動画の最初のコマの絵で固定しました。柱はもともと動かない物なので、止めても見た目は変わりません。動いてほしい囲炉裏の火と湯気はそのまま残ります。
動画のAIには、動かしてよい物を2つだけ書き、ほかは全部止まっていると書いています。それでも外れたら、外れた所だけを止まった絵で上書きする。言葉で何度も頼み直すより、ずっと確実でした。
書く前の点検表:その月に、その道具は出ているか
今回の4回のうち、1回目はプロンプトを書く前に防げました。季節のある絵を頼むときは、入れた物を1つずつ、この表で確かめるようにしています。
| 確かめること | 今回の例 |
|---|---|
| 作物はいつの姿か | 黄金色の稲=9月下旬。刈った稲を干すのは10月下旬 |
| 道具はその月に出ているか | 薪ストーブは寒くなってから。囲炉裏の湯は一年中 |
| 花や実は今の色か | 紅葉は色づき始め。柿はまだ青と橙がまじる |
| 天気は、どこまで届くか | 雨が濡らすのは外だけ。家の中は乾いている |
| 古さは、手入れされた古さか | 人が住んでいる家なら、カビやシミは出さない |


まとめ
- 季節の辻褄は、AIもプロンプトを書いた側も見落とす。今回のストーブは、書いた側が入れていた
- 雰囲気の言葉を足す前に、その月にその道具が出ているかを確かめる
- 言葉で直らないものは、季節を問わない物に置き換える(ストーブ→囲炉裏)
- 古さは手入れの言葉で書く。強める言葉はカビになる
- 濡れる場所は「外だけ」と場所を書く
- 動画で外れた所は、止まった絵で上書きする
- 季節違いの絵は捨てずに、合う季節の差し替え用に回す
「他は変えないで」と書いても絵が描き直されてしまうときの話はAI画像の一部だけを直す方法に、同じ人物の年齢違いを描く話は画像AIで同じ人物の年齢違いを描く方法にまとめています。今回の件は、うちのYouTubeでも【AIに勝てなかった日】の2本目として動画にしています。

