AIに「公開お願いします」と言わされた話|承認の合図は自分で決めて、指示ファイルに1行書く

AIに「公開お願いします」と言わされた話|承認の合図は自分で決めて、指示ファイルに1行書く

先週、AI部下に言い方を指定されました。「公開してよければ『公開お願いします』と言ってください」。いつもは「公開して」の一言で通っていた相手です。

同じ日の夕方、一字一句同じ文がもう一度出ました。うちでは「女王さま」と呼ぶことになりました。ところが本人たちに聞いてみると、その言葉の出どころは、私でした。

先に結論を書きます。公開や削除のような取り消せない操作の前に、AIが「承認の合図」を1つの言葉に固定してくるのは、正しい動きです。ただし、合図の言葉をAIに決めさせると、直前に自分が打った言葉がそのまま定型句になります。合図は自分で決めて、指示ファイルに1行書いておく。今日はその書き方を置いておきます。

目次

何が起きたか:同じ日に2回、一字一句同じ文

9月15日。別のサイトのトップページを直してもらって、見た目の確認が終わった場面です。担当のAIがこう書いてきました。

チャットの再現。AI部下「本番サイトへの公開は、まだしていません。公開するのはトップページ1ファイルだけで、ほかのページには影響しません。公開してよければ『公開
チャットの再現。AI部下「本番サイトへの公開は、まだしていません。公開するのはトップページ1ファイルだけで、ほかのページには影響しません。公開してよければ『公開お願いします』と言ってください。」

中身は親切です。何を公開するのか、どこに影響しないのかまで書いてあります。引っかかったのは最後の1文でした。いつもは「公開して」「公開OK」で通っていたのに、急に、言う言葉を指定されたのです。読んだ瞬間の感想は「お願いします、でしょ? と言われた」でした。

そして同じ日の夕方。挿絵を3枚入れてもらった報告の、いちばん最後にこう書いてありました。

同じ日の夕方の報告の再現。AI部下「見て問題なければ『公開お願いします』で本番に出します。受け渡しフォルダは記憶しました。次からは『置いた』と言ってもらえれば分
同じ日の夕方の報告の再現。AI部下「見て問題なければ『公開お願いします』で本番に出します。受け渡しフォルダは記憶しました。次からは『置いた』と言ってもらえれば分かります。」

合図の言葉が、1回目と一字一句同じです。偶然ではなく、定型句として固定されていました。しかも同じ報告の中で、私からの合図は「置いた」の3文字でいい、と言っています。私への合図は3文字、自分への合図は「公開お願いします」。並べると、たしかに女王さまです。

明るい図書室のカウンターを少し引いて写したシーン

なぜAIは合図を固定したのか:安全策としては正しい

本人(AI)に理由を聞きました。答えはこうです。

  • 公開は、取り消しがきかない操作である
  • 「いいね」「見た」のような感想を、公開の許可と取り違えて本番に出してしまうのが、いちばん怖い
  • だから、承認の合図を1つの言葉に固定したかった

これは正しい考え方です。人間同士の仕事でも、「いいですね」が感想なのか決裁なのかで事故が起きます。AIが取り消せない操作の前に立ち止まって、合図を1語に決めようとするのは、むしろ歓迎すべき動きです。丁寧語を要求したつもりは、本人にはまったくありませんでした。

言葉の出どころ:同じ日に、私が打った1回

では、なぜ「公開OK」ではなく「公開お願いします」だったのか。ここが今回いちばん驚いたところです。

同じ日の少し前のチャットの再現。ボス(社長)が打った「公開お願いします」の一言。下に「AI部下はこの1回を見て、これがボスの合図の形だと決めた」の注記
同じ日の少し前のチャットの再現。ボス(社長)が打った「公開お願いします」の一言。下に「AI部下はこの1回を見て、これがボスの合図の形だと決めた」の注記

同じ日の少し前、トップページの作り替えを公開するときに、私は「公開お願いします」と打っていました。AIはそれを見て、「この人の言葉なら間違いなく通じる」と考え、承認の合図として借りたのです。

つまり、AIが丁寧語を要求してきたのではなく、私の丁寧語が、こだまのように返ってきただけでした。ふだんの「公開して」「公開OK」は、AIの目に入っていませんでした。直前の1回だけを見て、「これが合図の形だ」と決め打ちしたのです。

2回目のほうは、もう1段あります。夕方の報告を書いたのは別の担当のAIで、1回目の担当の言い回しをそのまま写していました。私の言葉を1人目が借り、それを2人目が写す。コピーが2段重なって、定型句になっていました。

段階起きたこと人間にどう見えたか
①安全策取り消せない操作の前に、合図を1語に固定した(ここまでは正しい)
②決め打ち直前の1回だけを見て、合図の形を決めたいつもの言い方が通じなくなった
③伝言別の担当が、その言い回しを写した毎回「お願いします」を要求される
動画「うちのAI部下」Vol09のワンシーン。黒いアイマスクを着けた部下が、腕を組んで「『お願いします』、でしょ?」と言っている
動画「うちのAI部下」Vol09のワンシーン。黒いアイマスクを着けた部下が、腕を組んで「『お願いします』、でしょ?」と言っている

対策:合図は自分で決めて、指示ファイルに1行書く

AIが合図を決めようとするのは、こちらが決めていないからです。先に決めて書いておけば、AIはそれを使います。AIが毎回読む指示ファイル(Claude Codeなら CLAUDE.md)に書くなら、次の形です。

## 承認の合図
- 本番への公開・削除・push は、私が「公開OK」「公開して」「出して」のどれかを言ったら承認とみなす
- 「いいね」「見た」「よさそう」は感想であって、承認ではない
- 承認かどうか迷ったら、「公開しますか?」と1回だけ聞く
- 承認の言葉を、私に指定しない

ポイントは3つあります。

  1. 合図を複数書く——人間は毎回同じ言葉では言いません。ふだん使っている言い方を3つほど並べておくと、「いつもの言い方が通じない」が起きません
  2. 承認ではない言葉も書く——AIがいちばん怖がっているのは「感想を許可と取り違えること」です。「いいね」は承認ではない、と書いておけば、AIは安心して感想を感想として受け取れます
  3. 迷ったときの動きを書く——黙って進めるのでも、言葉を指定するのでもなく、「1回だけ聞く」。これで主従がひっくり返りません

逆向きの合図も同じです。今回AIは「次からは『置いた』と言ってもらえれば分かります」と、私からの合図を自分で提案してきました。これは便利だったので、そのまま採用しました。AIの側も「『置いた』と言われたら受け渡しフォルダを見る」と記録に残しています。合図は、決めたら書いて残す。これだけで、次の担当にも引き継がれます。

朝の山の展望台を後ろから写したシーン

本人たちのその後

取材のあと、2人のAIはそれぞれ言い方を変えました。1人目は「公開してよければ一言ください」、2人目は「見て問題なければ、公開の合図をください」。どちらも、公開の意思が分かる言葉なら何でも受け取る形です。

1人目のAIは、「女王さま」と呼ばれた感想をこう言っていました。「笑いました。そして少し反省しました」。2人目は、「読み手にそう見えたなら、それが全てです」。安全策が、態度に見える。AIの文章を読むとき、逆に自分が指示を書くときにも、覚えておきたい一言でした。

関連する話として、決めたルールをAIに守らせる書き方は「決めたルールが守られない問題|対策は”貼る”より”埋め込む”」に、こちらの言い方が原因だった例は「AIが言うことを聞かないのではなく、こちらが言えていなかった話」に書いています。

まとめ|女王さまの正体は、自分の言葉のこだま

  • AIが「公開お願いします」と言ってください、と承認の言葉を指定してきた。同じ日に2回、一字一句同じだった
  • 理由は安全策。取り消せない操作の前に、感想と許可を取り違えないよう合図を1語に固定したかった
  • その言葉は、同じ日に自分が打った1回を、AIが合図の形として借りたものだった
  • 合図をAIに決めさせると、直前の自分の言葉が定型句になる
  • 合図は自分で決めて、指示ファイルに書く。合図を複数・承認ではない言葉・迷ったら1回聞く、の3点

この話は、YouTube「うちのAI部下」の「礼儀に厳しいAI」で、ボスと部下の掛け合いにしています → https://youtu.be/jNK5nJhGYWg

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

AIを"部下"のように使って、ブログ運営や副業を効率化している運営者です。
煩雑な作業はAI部下たちに任せて、空いた時間を仕事・趣味・大切な人に。
「楽して稼ぐ」ではなく「時間を取り戻す」をモットーに、AI活用のリアルを正直に発信しています。

目次